1.『広告で勝負していたら、お金がいくらあっても足りませんよ』の感想・書評
2.ストーリーの発見し方
売れ続けるためには会社や商品、サービスに対して「価値」を見つけ出すことが大事です。
そしてその価値を生み出す源泉となるのが「ストーリー」です。
ストーリーは生活者、取引先、社員などに対して語ることで、聞き手の想像力を刺激します。
そして心に共感を呼ぶことで、お店のファンになってくれたりする魔法です。
本書はフィクションではない、ビジネスとしてのストーリの生み出し方を学べますよ。
どんな本なの?一言でまとめる!
『広告で勝負していたら、お金がいくらあっても足りませんよ』は、「ストーリーブランディング」の本です。
「ストーリーブランディング」とは、具体的に「ストーリー」を発見し、「ストーリー」のある売り方を学べる本です。
この本を読むことで、企業・商品サービスが長く売れ続けるヒントをえることができます。
本書はこんな人におすすめできます
- 商品がなかなか売れなくて途方にくれている
- 売れるだけではなく、売れ続けたい
- 差別化する具体的な方法を知りたい
- 価格競争に巻き込まれたくない
- 大手を含めて競合他社に勝てずに悩んでいた人にとって
『広告で勝負していたら、お金がいくらあっても足りませんよ』の感想・書評を紹介!
長く売れ続けるには「ストーリー」が必要
本書では、とにかくお客さんに長く選ばれ続けるために、「人の心を動かすストーリー」を発見する重要性をといています。
例えば下記の通り。
あなたの商品・会社、お店に「ストーリー」があり、それをうまく発信してくことができれば、人々の記憶に残ることができます。
記憶に残ったものは、口コミで伝えやすくなります。
結果として、商品はしっかりと売れ続け、お店はしっかりと繁盛し続けます。
たとえ、価格、品質、広告で他を圧倒していなくても、です。
上記の論理はとても明快で、飛躍は一切ないように考えられますよね。
世の企業の大半は、商品を売るために、価格を安くしたり、品質を高めたり、大量の広告を投下したりと短絡的な戦略を取り続けています。
これを続けると、価格競争に巻き込まれたり、年々広告費が増えたりと、企業が疲弊してしまいます。
だからこそ、商品・サービスに、「人の心を動かすストーリー」が必要になってくるのです。
生活者はそもそも、心を動かされるストーリーに出会ってはじめて、自分がほしかったものに気づくことが多いです。
今後もお客様の心に共感を呼び起こし、「ファン」になってくれるようにするのです。
これからの商品・サービス、会社、お店にはますます生活者の心を動かす「ストーリー」を持つことが強く求められるようになるでしょう。
戦略をもって売れ続けること
本書で印象だったのは、「偶然売れてしまうこと」と「戦略をもって売れ続けること」との相違を明確に伝えている部分です。
お笑い芸人島田紳助さんの言葉を引用して、売れるための方法を下記のように語っています。
「自分の戦力、自分に何ができるか(=X)」と「時代の流れ(=Y)」を綿密に分析してから戦わなければならない。
そして売れるためには、XとYで交わるように仕組んでいく必要がある。
ただしXとYが偶然交わるときもあり、一時的に売れても、それは「売れ続ける」にはつながらないといいます。
なぜなら、Yとはつねに変わり続けるものだからです。
長く売れ続けている人間は自分の強み(=X)を必ずと言っていいほど軌道修正して時代の流れに合わせて続けている。
なのでXとYの位置はいつも近い。
いかがでしょうか?
これほど、「売れる」とその先にある「売れ続ける」を分かりやすく解説している文章は他にないですよね。
ストーリーの3つの形
ストーリーには下記の3つの形があります。
- 志のストーリー
- ブランド化のストーリー
- エピソードのストーリー
志のストーリー
「志のストーリー」とは簡単に言えば、経営理念など企業が核としてもっている精神面をストーリーとして語ります。
明確な志として企業が目指すべき「理想・ゴール」であり、その心に決めた信念があるからこそ、
つまり、向かうべき目標、言い換えれば何のために存在するかという企業のアイデンティティの部分です。
志の発見方法は具体的に下記となります。
- あなたの会社で実現させたい願望を書き出す。
- あなたの会社で絶対にやりたくないことを、書き出す。
- 会社の強みと弱みを徹底的に書き出す。
- 強みに社会的意義(社会に役立つこと)を組み合わせる。
- 社会的意義のあることをすることで、自分の欲望やエゴを満たすことができないかを考える。
強みと社会的意義に自分の欲望やエゴを一旦加えた上で、その後削ることでリアリティのあるものになる
ブランド化のストーリー
ブランド化のストーリーは、理念的な「志のストーリー」の実現に必要となる戦略としてのストーリです。
ブランド化のストーリーは他社と比べて、目立つ存在になるために語られるものであります。
だから、他と差別化するためにも「オンリーワン」を探す必要があります。
そしてそのブランド化のストーリーを語り続けることで、その市場で「オンリーワンという特異な存在」となり、最終的には「ブランド化」された状態になります。
本書では具体的にオンリーワンになる方法を下記の3つで解説します。
1.絞りこむ
→なにかの専門家、スペシャリストになる。レッドオーシャンの場合は、さらに絞り込むか・新しい付加価値をつけるのが有効。
2.見せ方を変える
→なにか新しい付加価値をつけ見せ方をかえることで、全く別商品のようにみせる(太宰治人間失格の表紙をアニメ化するなど)
3.とにかく宣言する
なおブランド化のストーリー(オンリーワンを差別化できる特徴)はできれば、一言(「〇〇ならば〇〇」)で語れるものほうが良いです。
なぜなら、その言葉が「タグ」となり、人から人へと伝わり、口コミとして広がりやすくなるからです。
エピソードのストーリー
エピソードのストーリーは、「志のストーリー」と「ブランド化のストーリー」を魅力的に語り、具体的に実現していくストーリーです。
「ストーリー」を見つけるためのヒントとしては下記の10が挙げられます。
- 正直になる・誠実である
- オープンである
- お客さんがストーリーに参加できる余地を残す
- 約束以上のことをする
- 既存市場を敵にまわす
- 商品そのものを売らない
- 精神的な満足を売る
- 希少性をつくる
- 自分が欲しい商品を売る
- ぶっちゃける
ただ上記は本書では語られずに「仕事はストーリで動かそう」に詳しく述べられているそうです。
本書では10つのヒントにプラスアルファで下記がかたられています。
- マイナスをプラスに変えよう。
- 裏側(バックステージ)を見せる
- 体験を売ろう
- 時間帯を変えてみよう
- その場で比較して、試してもらおう
- その場で比較して確かめてもらう
- エンターテイメントを売る
- あえて売らない
- 社長をブランド化する
- 手紙やニュースレターを送る
これらを参考にしながら、「志のストーリー」と「ブランド化のストーリー」をどうやってひと目置かれる存在として、語るかの方法論を考え出していきます。
3つのストーリーの関係性
3つのストーリーは、どれかひとつのストーリーを語ってもだめです。
大切なのは、3つのストーリーがリンクしあって、相互補完し合うことです。
そうすることで、ユーザーは具体的に頭に浮かぶ物語性、感動を引き起こすことができます。
ですから、当然それぞれのストーリには矛盾はしてはだめ。
すべては連関しあっており、
これが大切になっていくのです。