こんにちは、集客デザインです。
今回の記事は、パーセプションフロー・モデルについて解説しています。
なお、、、
こんな方に向けて、極力分かりやすく噛み砕いて説明しています。
パーセプションフロー・モデルは、「売り出したい商品・サービスがある!」という個人事業主の方にとっておきのモデルです。
パーセプションフロー・モデルの他記事を読むと、大企業や中小企業しか使えない!みたいに書いてありますが、個人事業主のでも充分適用可能なモデルです。
今回の説明は、正規のパーセプションフロー・モデルの使われ方と、少しズレれているかしれませんが、“どんな企業でも応用可能なモデルである”ということを分かりやすく伝えています。
パーセプションフロー・モデルとは?
パーセプションフロー・モデルとは、一言で、”消費者の認識変化”に焦点を絞ったマーケティングの設計図です。
具体的には、消費者の購買行動に影響をあたえる“認識”に着目して、SNSなどさまざまなメディア・媒体から受ける知覚刺激により、消費者のうちでどのような認識変化(新しい気づき等)が起きて、その後、“代替サービスを探す”や“購入の正当化”など具体的な購買行動へ移されるのかをモデリングします。
つまり、消費者の行動ではなく、“消費者の認識を中心”において、マーケティング全体を可視化して設計するのです。
パーセプションフロー・モデルに沿ってマーケティングを考えていけば、
■マーケティング施策(A)によって消費者の認識変化(B)が起きる
■消費者の認識変化(B)によって消費者の行動変化(C)が起きる
という風にマーケティング全体を『AによるB』『BによるC』と“因果的”・“論理的”に捉えることができます。
そのため、消費者の態度変容をより詳しく正確に把握しながら、マーケティングの計画を立てられます。
【補足】パーセプションフロー・モデルをもっと分かりやすく説明
先ほどの説明が「小難しい!」と感じた方のために、次に噛み砕いた解説もしておきます。
まず人間は“現実世界を生きる”上で
01.知覚
02.認識
03.行動
この3ファクターを無意識に使いこなしています。
なお、3つを噛み砕いて表現すると、
01.「知覚」→“感じること”
02.「認識」→”知ること”
03.「行動」→食べる、寝る、起きる、走るなどの“具体的な行い”
と単純化してますが、このようになります。
さて人間は外界/内界からの“刺激”を受け、それを“知覚・認識”(=パーセプション)し、なにかしらの“行動”を起こします。
例えば、
【刺激】誰かに殴られる→【知覚・認識】痛いと感じる・知る→【行動】殴られたところを摩る
【刺激】棚に置かれたチョコレートが目に飛び込む→【知覚・認識】甘いものを食べたい!と感じる・知る→【行動】チョコレートを買いにいく
つまり、
○刺激→知覚・認識→行動
という順番で人間は生きているわけです。
反対に言えば、行動は“知覚や認識があって初めて生まれる”と考えられます。
パーセプションフロー・モデルは、この行動の背後にある“認識”に注目して、
消費者の購買行動を『知覚・認識変化』の立場から分析し読み解いていく
モデルなのです。
パーセプションフロー・モデルとカスタマージャーニーの違いは?
カスタマージャニーマップは消費者がたどる“行動”のみ時系列で可視化してフレームワーク化したものです。
それに対して、パーセプションフロー・モデルは行動にともなうパーセプション(=『知覚』『認識』)もコミコミで、『認識変化の流れ』とその結果(=『行動』)を設計していきます。
つまり、カスタマージャニーマップの焦点は『行動』という結果を軸にしているわけですが、パーセプションフロー・モデルは『知覚』や『認識』といった(行動の)原因を軸に考えているわけです。
パーセプションフロー・モデルは実生活を送る“消費者”(ひとりの人間)の立場に立ちながら、より正確で、広範囲のマーケティング設計ができる手法なのです。
カスタマージャニーマップ=行動変容!のみ設計
パーセプションフロー・モデル=行動変容に伴う認識変容を軸に設計
パーセプションフロー・モデル必要とされる理由
これは端的に“行動”だけに注目するマーケティングには限界がきているからだと思ってください。
というのも、社会のデジタル化が進んでいくなかで、TVCMやメルマガ、SNSなどチャネル数がかなり増え、消費者は“複数のタッチポイント”を持つようになりました。
そうなると、消費者は日常から“様々な刺激”を受け取っているわけなので、ただただ行動だけを追っていても、
消費者がなぜこの行動をとったのか?
と“購買行動の深い理由や“真意”を捉えることができません。
そこで大切になるのが、消費者行動の背後にある“認識”や“気づき”です。
なぜなら、人間的な動きはかならず“認識があってはじめて行動”という順番で成り立つので、なにかしらの行動には、かならず消費者の認識変化が潜んでいるからです。
パーセプションフロー・モデルの構成要素
パーセプションフロー・モデルの構成要素を以下に示しておきます。
01.行動
02.パーセプション
03.知覚刺激
04.KPI
05.メディア・媒体
※パーセプションフロー・モデルの“表”をみたい方はCoup Marketingのサイトをご覧ください。(複製や転載は禁止されています)またパーセプションフロー・モデルに記述されている内容は、みなさんが売りたい商品・サービスによって異なってきます。
01.行動
行動とは、
認識の変化に伴う購買行動
です。
もう少し分かりやすくいえば、パーセプション(知覚・認識)の変化に伴って、生まれた結果=行動になります。
行動変化の各段階を以下に列挙しておきますね。
現状
↓
認知
↓
興味
↓
購入
↓
使用
↓
満足
↓
再購入
↓
口コミ
重要なのは、行動の各段階は認識の変化が生まれなければ、次の段階には進まないということです。(だから認識の変化に“伴う”と言われているのです)
そして認識変化には、“知覚刺激”が必要になってきます。
02.パーセプション(知覚・認識)
パーセプションとは、
行動を左右する情報の解釈
です。
パーセプションの例をあげると、
「肌に潤いがなくなってたの気にしてたんだけど、こんな新しい製品あるんだ」
「へ〜展示会あるんだ、最近美術館行ってないから行こうかな?」
「この商品友達にオススメされたし、Instagram上でもすごく人気あるから気になる」
「オススメした方が私も流行に乗ってるって感じがする!」
といった“気づき”であると思ってください。
このパーセプションがあって、消費者はこれまでの価値観が変化したり、常識が違ったことを認識するわけです。
03.知覚刺激
知覚刺激とは、
新しい認識を気付かせ、自主的な行動を喚起する外部からの情報
です。
知覚刺激の例としては、
「買った商品がすぐに壊れる」
「サポートセンターの対応がとても良い」
「街のいたるところにポスターが貼ってある」
「自分が思っていた以上の使い心地」
で、皆さんの現状に“刺激”を与える要素だと覚えてください。
04.KPI
KPIとは、
成果を示す指標
です。
KPIを定めておくことで、マーケティング施策の効果検証や評価が可能となり、その後の改善策を立案しやすくなります。
KPIは“行動の各段階”で定めたほうがよく、
■課題認知率
■ブランド認知率
■店頭露出度
■購入意向率
■使用率
■製品満足度
といった評価指標で表現します。
05.メディア・媒体
メディア・媒体とは
知覚刺激を効果的・効率的に伝達するもの
です。
メディア・媒体の種類としては、基本的にトリプルメディアとその他に分けられます。
■ペイドメディア(paid media)→TVやラジオ、WEB広告、雑誌広告、中吊り広告など
■オウンドメディア(owned media)→自社メディア
■アーンドメディア(earned media)→ブログやTwitter・Facebook等のSNS
■その他
に分けられています。
パーセプションフロー・モデルを設計する5つのメリット
それではパーセプションフロー・モデルを設計するメリットを5つほどご紹介しましょう。
01.消費者の心理的変化を管理し、評価できる
02.消費者目線で適切なコミュニケーション計画が立てられる
03.効率的なマーケティング施策を立案できる
04.マーケティングの一元管理=共通認識・共通言語ができる
05.マーケティングを局所的にも全体的にも管理・評価できる
以下にそれぞれ詳しく説明してきますね。
01.消費者の心理的変化を管理し、評価できる
パーセプションフロー・モデルは、消費者の行動変化を、“認識・知覚”の立場から設計・評価していきます。
パーセプションフロー・モデルを設計すれば、ある知覚刺激に対して、パーセプションがどう変化し、その結果、消費者の態度変容・行動変化を引き起こしたのかが正確に捉えられます。
したがって、認知や興味、購入など行動の各段階における、消費者の心理的変化による“購買への影響”を適切に評価することも可能になるのです。
さらに消費者の認識を想像して、
彼らにどんな印象や知識を与えればいいのか
どんな連想を辿って行動を起こすのか
とひとつひとつ仮説を立て、どう消費者にどう認識してほしいのかという観点からマーケティング施策を考えることもできます。
02.消費者目線で適切なコミュニケーション計画が立てられる
パーセプションフロー・モデルを設計する際には、徹底的に『消費者の立場・状況』を踏まえなければなりません。
なぜなら、パーセプションフロー・モデルの主人公はあくまで消費者のこころや頭や行いだからです。
そして彼らは機械ではなく、生きた人間です。だからパーセプションチェンジ(=認識変化)は“自然”におきます。(マーケッターの勝手な妄想によっては操れないわけです)
“自然”は例えば、
(1)メディア・社会など外部からの刺激、あるいは自身の内部から沸き起こる刺激
(2)(1)がきっかけとなり何かに気づく→これまでとは違う“パーセプション”が開く(パーセプションチェンジ)
(3)新しい価値観・主義主張が形成され、なんらかの現実行動が生まれる
というふうに、認識変化=気づきを軸とした“流れ”として捉えなければなりません。
もし人間の“気づき”がモデリングに含まなければ、消費者行動は、ぎこちのない空想物語で終わる可能性が大です。
上記のように、人間的な性質を把握し、一連の購買行動プロセスを“認識変化”のストーリーとして描くことで、ユーザー理解+消費者目線の適切なコミュニケーション計画が立てられます。
03.効率的なマーケティング施策を立案できる
消費者の心理的変化を把握することができれば、その変化に着目して、4P施策も無駄なく効率的に計画を立てられます。
定めたターゲット顧客に働きかける具体的なマーケティング施策。
Product→商品施策
Price→価格施策
Place→流通施策
Promotion→プロモーション施策
それぞれの頭文字Pをとって組み合わせたもの
パーセプションフロー・モデルに落とし込むまでは、“最適”だと思っていたコンテンツも、全体の設計図の中に当てはめてみると、消費者行動の各段階で不具合を発見することができます。
その点を改善すれば、現状のコンテンツを最適化して、成果につなげやすくなります。
04.マーケティングの一元管理=共通認識・共通言語ができる
マーケティングは、施策を立案して、実行すれば終わりというものではありません。
マーケティング全体を効率的に機能させるためには、単に戦略を立てるだけでなく、
■デジタルで収集した情報資源の活用
■複数のチャネル・プラットフォームの管理
■施策に対する効果測定
■外部の専門家や協力者との意思疎通など
正しくマネジメントしていかなければなりません。
パーセプションフロー・モデルは多様な活用に応えられるほど汎用性の高いモデルですが、とくにマーケティング・コミュニケーション全体を視野に納めたマネジメントにとても役立ちます。
マーケティング施策と消費者行動、課題解決とKPIなど、それぞれの“関係”を可視化し理解できるので、
■施策の効果測定
■マーケティング組織に関わるステークホルダーとの意思疎通
■自社内での連携
■プランニングと実行と改善
などを全体の設計図(=パーセプションフロー・モデル)の元で一元管理が可能となるのです。
また全体の設計図なわけですから、自分の業務がいったいどこの段階で機能しているのかも把握できます。
05.マーケティングを局所的にも全体的にも管理・評価できる
パーセプションフロー・モデルは、マーケティングの全体像を可視化し、管理できる設計図として有効活用することができます。
だから、一連のマーケティングの流れを部分・局所的に評価することもできますし、俯瞰的に全体を眺めることもできるので、「全体→部分」、「部分→全体」というふうに横断的に評価・管理が可能です。
例えば、“部分的”には最適な施策でも、“全体的”にみれば不利益をもたらす施策を見つけ出し、その部分を改善し、全体を最適化させる使い方もありでしょう。
また全体的な設計図の一部を変更(例えばキャンペーンを変更)や、突然の軌道修正をしたとしても、設計図で全体を可視化できているので、状況に応じた効率的にプラン修正も実施することもできます。
パーセプションフロー・モデルの事例
最後にパーセプションフロー・モデルの事例をひとつ紹介して終わりにしましょう。
事例01.カメラを止めるな
事例02.Fringe coo株式会社のSaaS事業“Unipos”
それでは、事例をそれぞれ解説しますね。
事例01.カメラを止めるな
壇上で「カメラを止めるな」をパーセプションフローモデルに落として、映画を推奨しまくる@tokurikiさん。#ファンとクチコミ pic.twitter.com/Q0Vgm8hTyC
— TK(kimoto) (@TKimotoshi) September 13, 2018
こちらのツイートでは「カメラを止めるな」をパーセプションモデルに落とし込んだ事例を紹介しています。
はたして「カメラを止めるな」がパーセプションモデルを意図的に使いこなしかは定かではありませんが、「なぜカメラを止めるがヒットしたのか」その理由がユーザー目線で読み解くことができますね。
事例02.Fringe coo株式会社SaaS事業“Unipos”
Uniposとは、日々見えづらい従業員一人ひとりの貢献を見える化することで、エンゲージメント向上や従業員の働きがいなどさまざまな組織課題を解決するwebサービスです。
Uniposはパーセプションモデルを通じて、
①新聞やWebニュースなどPR施策を展開して、「働きがい」の市場を増やすしつつ、その後の受け皿としてランディングページを新たに作り直したところ、コンバージョン率が4.1倍に。
②マーケティングとセールスの担当者の協働を促して、同じ問題に対処できる組織を構築。活動効率が高まったことで、潜在顧客の商談化率を2.3倍に。
という実績を残しました。
※参考記事①PRTIMES②Fringe株式会社2020年3月期第2四半期決算説明資料
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回はパーセプションフロー・モデルについて学んできましたね。
以下に本日の内容を振り返っておきましょう。
パーセプションフロー・モデルとは?=”消費者の認識変化”にフォーカスを絞ったマーケティングの設計
→【補足】パーセプションフロー・モデルをもっと分かりやすく説明
パーセプションフロー・モデルとカスタマージャーニーの違い
パーセプションフロー・モデルの構成要素
→01.行動
→02.パーセプション(知覚・認識)
→03.知覚刺激
→04.KPI
→05.メディア・媒体
パーセプションフロー・モデルを設計する5つのメリット
→01.消費者の心理的変化を管理し、評価できる
→02.消費者目線で適切なコミュニケーション計画が立てられる
→03.効率的なマーケティング施策を立案できる
→04.マーケティングの一元管理=共通認識・共通言語ができる
→05.マーケティングを局所的にも全体的にも管理・評価できる
パーセプションフロー・モデルの事例
→事例01.カメラを止めるな
→事例02.Fringe coo株式会社SaaS事業“Unipos”
認識変化の流れに着目したパーセプションフロー・モデルは、消費者目線で考えられた新しいモデル。
マーケティング全体を視野におさめながら、各段階の行動を“消費者の認識”から読み解いていく方法は、今後、マーケティングの世界に新たな可能性をもたらすことでしょう。