こんにちは、集客デザインです。
今回は、マーケティング用語として覚えておくべき“コモディティ化”について詳しく解説する記事を用意しています。
という悩みや要望を解決していきますね。
コモディティ化とはどういう意味か?
コモディティ化とは、市場が成熟化することで、それまで有していた製品の個性や独自性が失われ(=平均化・同質化)、メーカー間で機能や品質などで差別化を図るのが難しくなる(=商品が一般化する)現象のことです。
基本的に、製品の差別化特性としては、、、
○機能(ある物に備わっている働き→耐水機能・耐火性・防寒性など)
○性能(ある物に備わっているスペックや能力、機能を数値に表現→CPUコア数最大で28コア、燃料消費率14.6km/L・2400万画素)
○品質(非常に広範囲に多義的に用いられるので定義は難しいが、ユーザーのニーズに合致しているかで表現される。合致度が高いと高品質と呼ばれる)
○ブランド(競合他社と自社どの製品やサービスを区別するためのもの)
○価格力(商品・サービスの価格)
といくつかの要素があります。
そして企業は上記のどれかに秀でることによって“自社の独自性”を保とうとします。
ところが家電製品のように“競合他社が拮抗する市場”となると、どのメーカー、どの商品であっても性能やブランドの違いは大同小異となります。
コモディティ化はどの市場でも起こりうることであって、たとえ企業が斬新なヒット商品で新たな市場を開拓しても、多数の他企業がその商品を開発し、自社ブランドとして類似商品を市場に流します。
そうなると、必然的に当時は真新しい市場であっても、何年後かには競合がひしめく飽和した市場になり、機能・品質・ブランドなどの差異が失われ、商品は一般化してしまいます。
コモディティ化が進むとどうなるのか?←価格競争に陥ります
コモディティ化した製品・サービスが増えると、顧客は「どの商品を買っても良い」という状態になります。
なぜなら、機能・ブランドによって多少の違いはあるといえど、“基本的機能”をきちんと満たす限りにおいては、どのメーカーでも同じだからです。
基本的機能とは、例えばコモディティの意味でもある「日用品」や「必需品」の場合、
食品=お腹を満たす・栄養を補給する
衣服=身にまとう・体温調整・怪我を防止
といった、最低限度満たしていれば良い機能だと覚えておいてください。
ではコモディティ化が進むとどうなるかというと、顧客は購買の際に“コスト”だけを重視するようになります。
例えば、機能・性能が全く同質の自動車を、AメーカーとBメーカーが売っているとします。(顧客は自動車のブランドには全くこだわりがなく「乗れればいい」という基本機能だけ求めています)
では自動車の販売価格が、
Aメーカー→400万円
Bメーカー→350万円
で販売されているとしたら、顧客はどちらを購入するでしょうか?
もちろん、Bメーカーですね。
このようにコモディティ化が進むと、顧客にとって商品選択の基準が“販売価格”の違いでしかなくなるのです。
コスト重視→価格競争が起きる→業界全体が価格が下がる
上の例でいえば、Aメーカーは、Bメーカーに負けてはいられないとばかりに、価格を340万円まで下げる努力をするとします。
さてそこにCメーカーが“先ほどの自動車の機能・性能と同レベルの自動車”を300万円で開発して市場に流通させます。
すると今度は、販売価格を重視する顧客はCメーカーに飛ぶつきます。
以上の例はとても単純化した話に聞こえるかもしれませんが、現にこれまでの歴史で、コモディティ化による価格競争が起きた事実もあります。
価格競争は、その製品カテゴリー全体の価格を下げて、業界に属する企業は安く商品を提供した結果、利益幅は少なくなります。
このようにコモディティ化した商品が増えれば、メーカ間で激しい価格競争が起き、企業の経営を逼迫するのです。
コモディティ化の原因は?
この章ではこう言った疑問を解決しますね。
01.技術水準が高くなっているから
02.グローバル化が進んでいるから
ひとつずつ解説していきます。
01.技術水準が高くなっているから
高度経済成長期の日本は、高性能・高機能の製品・サービスがリリースされれば、消費者は夢中になって買い求めていました。
そのため、当時の企業は、
・優れた技術力を持つこと
・他社以上に高い品質の製品を開発すること
が使命としてあり、それがビジネスを生き残るために必要なことでした。
ところが、現在はどの業界も、基本的な技術水準は高いため、技術そのもので差別化を図ることは難しくなりました。
たとえ、技術的な核心を起こしても、他企業が学習すれば、すぐ技術的な水準は高まり、均質してしまうのです。
02.グローバル化が進んでいるから
コモディティ化は、グローバル化が進めば進むほど、深刻になります。
なぜなら、人や資本、技術が越境するわけなので、その分、商品・製品の均質化・画一化が進行していくからです。
また、新興国や後発国が発展すると、人的コスト等が安くおさえられる国から、低価格の類似製品が流れてくるわけなので、国内の価格競争が激化し、コモディティ化はますます進んでしまいます。
コモディティ化の対策は?【生き残るために非コモディティ化を!】
それでは、どうすればコモディティ化を防ぐことができるのか対策をピックアップしていきます。
対策01.客観的機能だけでなく、主観的な体験を売る
対策02.徹底したユーザー目線に立ち、“個性”や“ユニーク”を磨く
対策03.高くても売れる高価格戦略としてのブランド育成
以下にて3つの対策を具体的に解説します。
対策01.客観的機能だけでなく、主観的な体験を売る
私はコモディティ化した商品(一般化してユニークではなくなった差別化しにくい商品)をそれだけでは決して売らない。むしろ、必ず有形か無形の要素を加えて独自なもの、他と比較できないものにする。商品をパッケージで提供すれば、価値をより高く知覚してもらえる。(ジェイ・エイブラハム)
— 保留 (@kigyoukameigen_) November 12, 2019
上記のツイッターはアメリカでトップ5の経営コンサルタントに入るジェイ・エイブラハムの言葉です。
そもそも、独自性も価値も何もない“カツ丼”を提供しているだけでは、顧客にとって、どのカツ丼を食べても変わりはありません。
もしほんとうに“あなたのカツ丼”を食べさせたいなら、顧客がカツ丼を食べる・食べた時の「体験」を改めて考えてみてください。
例えば、とんかつ専門店「かつや」のカツ丼を選ぶ際には、カツ丼を食べたいという目的以外にも
■お店の雰囲気
■丼から溢れる香ばしい匂い
■アツアツじゃなくすぐに口に運べる熱さ
■かつやならではのカツ丼の色合い
■調理が難しいカツが3分ほどで出てくる
■店内に入ってすぐの接客
■安い価格
など、“総合的な体験”が顧客に働きかけて、かつやを選ぶわけです。
もちろん、客観的な機能・性能(国産・サクサクの衣)を上げるのは当然必要ですが、顧客が商品を手にとって・サービスを受けて感じる“主観的な体験”を高めていく必要があります。
対策02.徹底したユーザー目線に立ち、“個性”や“ユニーク”を磨く
コモディティ化した商品は、“機能・性能”といった同一化・均一化してしまい、それらのみで他社製品を凌ぐ差別化は難しいのが現実です。
だからこそ、原点に立ち返り、
“顧客(=買い手)は価値を感じるものだけに対価を支払う”
という大前提を考え直しましょう。
では顧客に自社商品・自社サービスに価値を感じてもらうにはどうすれば良いのでしょうか。
それは、
顧客一人ひとりのニーズを考え、顧客たちが持ちたい商品・受けたいサービスを提供
していくのです。
その点で、「個性」や「ユニーク」を磨いていくことは非常に重要になってきます。
なぜなら、企業が培ってきた個性・ユニークが実り、顧客のこころを捉えるようになれば、
というように、企業の個性が顧客のこだわりに変わり、それが『購買行動』という結果に繋がっていくからです。
経済産業省の平成 29 年度消費者意識基本調査によれば、”消費者の普段の意識や行動”について、
好きなものにはこだわりがある→68.0%(『かなり当てはまる』+『ある程度当てはまる』)
という結果が出ています。
“好き”や“こだわり”は、コモディティ化した商品・サービスからは生まれ得ず、『個性』が確立されてはじめて抱くポジティブな感情的な価値なのです。
対策03.高くても売れる高価格戦略としてのブランド育成!
コモディティ化が進めば、商品単価が下がっていくので、価格競争に巻き込まれ、企業の多くはコストカットを余儀なくされます。
もしその業界に、ユニクロのような圧倒的な品質と価格、サービス提供できる強い企業がいたとしたら、価格競争ではまず勝ち目がなく負けます。
それではどうすれば良いのでしょうか。それこそ、価格競争とはまったく逆の道であり、“高価格戦略”ともいわれるブランド育成です。
ブランド育成のメリットは、
顧客はブランドに対する“信頼”があれば、高額の商品・サービスであっても対価を支払う
ということです。
なぜなら、彼らは
商品の“機能・性能”を購入する以上に、“ブランド”を購入しているから
です。
ブランドとは、“安心”や“好き”という顧客の主観的な感情から生まれるもので、
「〇〇の商品を買えば間違いない!」
「〇〇を買うならあの企業だよね」
というように、作り上げたブランドが、商品・サービスに対する確実な満足を保証しているわけです。
ブランド育成が成功すれば、コモディティ化による価格競争に巻き込まれることなく、ひと商品あたりの“収益性を高める”ことができ、業界・市場において独自のポジショニングも確保することもできます。
脱コモディティ化の事例【成功例】
コモディティ化によって、安売り競争に陥らぬように、以下では脱コモディティ化に成功した企業の事例を紹介したいと思います。
事例01.キットカット(情緒的価値による脱コモディティ化)
事例02.Deuxieme Classe(ブランドによる脱コモディティ化)
事例03.焼肉きんぐ(個性や豊富さによる非コモディティ化)
どれも脱コモディティ化には役立つ事例ばかりです。しっかりと覚えておいてくださいね。
事例01.キットカット(情緒的価値による脱コモディティ化)
情緒的価値とは、機能的価値と対を成す概念です。
機能的価値とは、商品・サービスの機能や性能など客観的な価値
情緒的価値とは商品・サービスを見たり、利用したり体験する際に得られる感情的価値
キットカットとは、言わずと知れたチョコレートのお菓子ですが、POCKY、たけこの里、神戸ショコラ、パイの実、CRUNKYなどなど、競合がひしめいているカテゴリーです。
そんななか、「キットカット」は九州地方の方言『きっと勝つとぉ!』に似ているところから、受験生の“お守り”や“合格祈願”、“縁起かつぎ”として広く親しまれるようになりました。
これはまさに、糖質カットやカカオ72%配合などのような機能的価値ではなく、『夢に向かって頑張る受験生を応援』や『息子や友達に頑張ってほしいという気持ち』などポジティブな感情面を揺さぶる情緒的価値です。
この結果、キットカットは『チョコレート菓子』という同一化・均一化した製品ジャンルを超えて、“受験生を応援するアイテム”という唯一独特の立場を得ました。
事例02.Deuxieme Classe(ブランドによる脱コモディティ化)
大人の女性向けのセレクトショップDeuxieme Classe(ドゥーズィエムクラス)は、オシャレ好きな女性に熱烈なファンが多いアパレル会社です。
ただ価格帯は15,000円~50,000円が中心で、アパレル業界のなかでも決して安くはありません。
ではなぜDeuxieme Classeの服が人気があるのか。
それは「スタイリングの幅が広い」というブランドが構築されているからです。
スタイリングとは、ひとアイテムでさまざまな「着回し」や「着こなし」が実現できるということです。
例えば、パンツを一本を買ってしまえば、ブラウスにもデザインシャツにも似合い、パンプスにもヒールにもショートブーツにも似合うといった“さまざまなコーディネート”が可能となります。
そして着こなし提案は、Deuxieme Classeの販売スタッフみずからが行ってくれます。
実はこの着こなし提案についても、ひと工夫されており、顧客に提案する前に、Deuxieme Classeのブランド愛に強い販売スタッフたちが、試着を繰り返しながら、コーディネートのロールプレイングをしているのです。
それにより、顧客に対する提案のスタイリング幅が広がり、顧客の満足度も向上するという結果に繋がっていくのです。
このように「スタイリンといえばDeuxieme Classe」「スタッフのブランド愛が強いDeuxieme Classe」というような確固としてブランド構築をすることで、高価格でも商品が売れていくのです。
事例03.焼肉きんぐ(個性や豊富さによる非コモディティ化)
焼肉きんぐといえば、「ランチやディナーでも焼肉食べ放題が食べるチェーン店」として有名ですが、安楽的・牛角・安安、さらに地方にも食べ放題チェーンと競合がたくさんいます。
そんななかで焼肉業界売上げは2位(1位は牛角)で、店舗数としても2014年6月末には82店だったのに対して、全国で直営とFCを含めれば228店と3倍近くに増えています。
焼肉きんぐの人気の秘密は、何と言っても
・ドラゴンハラミ一本焼
・鬼厚ガリバタ上ロース
・きんぐカルビ
・ダイヤモンド上カルビ
という4大名物の極厚熟成肉。
出典:焼肉きんぐ
上記のドラゴンハラミ一本焼のインパクトは“個性的な見栄え”をして、その他3品を加えれば、ボリューム感はたっぷり。
サイドメニューも各種サラダから海鮮、ご飯、キムチ、デザート、スープなど豊富で、家族づれも楽しめるメニュー構成になっています。
また、“焼肉ポリス”という、おしゃべりに夢中になっているお客さんが肉を焼き過ぎていないか、定期的に見回る個性的なサービスも行っています。
そして、焼肉といえば、スタッフへ注文・少し狭い店内空間というイメージですが、焼肉きんぐはテーブルのタッチパネルからお料理を注文ができ、座席も広々として大人数や家族づれでもゆったりと過ごせます。
他のチェーンとは違う個性的な商品やサービスを提供することで、人気が一気に急上昇したのです。
まとめ
最後に改めてコモディティ化とはどんな意味があるのか、おさらいすると、
真新しい商品であっても、市場が成熟していくことで、競合他社同士で、商品の機能や性能、ブランドなどの差異や特徴が失われていき、均一化・同一化・一般化していく現象のこと
でしたね。
以下は今回勉強した内容ですね。
コモディティ化とはどういう意味か?
→コモディティ化が進むとどうなるのか?←価格競争に陥ります
→コスト重視→価格競争が起きる→業界全体が価格が下がる
コモディティ化の原因は?
→原因01.技術水準が高くなっているから
→原因02.グローバル化が進んでいるから
コモディティ化の対策は?【生き残るために非コモディティ化を!】
→対策01.客観的機能だけでなく、主観的な体験を売る
→対策02.徹底したユーザー目線に立ち、“個性”や“ユニーク”を磨く
→対策03.高くても売れる高価格戦略としてのブランド育成
脱コモディティ化の事例【成功例】
→事例01.キットカット
→事例02.Deuxieme Classe
→事例03.焼肉きんぐ
【相談者02】コモディティ化から脱却する対策を知りたい!
【相談者03】非コモディティ化に成功した事例はありますか?